短考)言論について

新聞は日々のニュースを売っているわけじゃない。その中から生み出される「言論」(ないしはその空間)を提供しているんだと思う。オピニオン、インタビュー、論文、コラム、声欄などなど。「ニュースを見るならネットでいい」。これには同意する。
単純なストレートニュースは、どのソースにしてもほとんど内容は変わらない。重要なのは、そういうストレートニュースを広げたり、複数の人が議論をしたり、識者が考え語ったりするもの。そしてそれが、多くの人たちに一斉に配信されるもの。こういう類いの「言論」って、あんまりネット上にはない。「言論」には、信頼性と共有性が必要だ。それらがしっかりと担保された「言論」が、記録性と一覧性にすぐれた紙に印刷されることに、意味はある。視角的に読みやすいようデザインされ、かつ保存性に優れている新聞のウリだ。自らがアクセスしたい「言論」以外の見地を広げるには、新聞っていうのは最も有効なツールなはずだ

新聞を読まないは、ニュースを見ないと=(イコール)にはならない。自分は興味がない、知らない、自分からは見えない「言論」を、もっともっと深いところにしまい込んでしまうことに、つながるんじゃないかと、僕はどことなく危機感を覚える。

(2014/1/3)

山あいの村のおばあちゃんがイラク戦争を語り、東大生が過疎を語る。海辺の町の若い漁師のにーちゃんが反原発を想い、市民活動家が干拓問題を解く。みんなが自分にも関係のない大きな事柄に関して、何かしらの意見を持つことが、言論だと思うんだよね。

(2014/4)

短考)ことばについて

ことばを丹念に紡いだ本を読むと、ことばが身体に行き渡る。そうやって読書はひとを形づくるのだとおもう。考え方とか、見方とか、生き方とか、ことばを咀嚼することで、学びとることができるのだと、おもう。

そんな中で、世の中のものことがどんどん形骸化しているように感じる。年月を重ねて培われてきたものことが、ぼろぼろと無に帰する。それを進歩と捉えるひともいるけれど、人間らしさが失われ、ひとりひとりの深みは埋まり、フラットになりつつもつまらない世界になるんじゃないかな、と危惧する。

そんなことを感じるのは、たいてい、石牟礼道子か宮沢賢治を手にとったとき。あのひとたちのことばはやっぱり、ぼくらが普段使うことばと、少し違う世界のことばなんだとおもう。五感で捉えられない、もう少し森とか海とか山に近い世界が、そこには広がっている。

(2013/12)

中央と周縁について

昨日、フクシマ論をいまさらながらに読了した。

植民地と原発を重ね合わせる見方、地方と中央の構造変化と、完成した自発的な従属、「原子力ムラ」のリアルに満遍なく触れていて、読みやすく、おもしろい。やっぱりミソは、これが311前の研究とまいうところ。けっきょくムラは吹っ飛んだんだと思うと、虚しい。

Read More

イラク戦争から10年。

イラク戦争から10年。

ヨルダンでイラク難民に出会ったり、高遠菜穂子さん と活動したぼくには、この10年の節目に何が出来るんだろうと考えてみて。いまの仕事柄、「伝える」ことが自分がいちばんできることだなあと結論づけてみて。そうして、けっこうな想いを込めて、自分の働く新聞会社で、記事を書きました。

もうイラク戦争から10年も経ってしまったんだと思ういっぽうで、まだ10年しか経っていないんですよね。

ぼくらにとっては当たり前のように過ぎていった10年間だったけれども、イラクの人たちや、戦争に巻き込まれた人たちにとってみれば、悲しくて、辛くて、どうしようもない気持ちが積み重なった10年間だったはず。
Read More

想像力×創造力について

いきなりだけれども、会田誠展に行ったとき、いちばんいいなって思ったのは、「イマジン」っていう作品だ。飛行機のコックピットからツインタワーが見えているという絵なんだけれども、「ああ、こういう視点で911同時多発テロ」を考えたことがなかったなあと、ものすごく考えさせられた。

想像力×創造力のたまものって、めちゃくちゃ力がある。

なんでそんなことを考えたのかというと、演劇「今伝えたいこと(仮)」をつくっている相馬高校放送局の顧問の先生や、女子高生たちに出会ったから。

原発や地震の被害にあった相馬高校。彼女たちは、劇やラジオや映像作品で、自分たちや福島の、相馬の人たちの思いの内を表現しているんだけれど、それがやっぱり響く。

Read More

左利きについて

テレビでおいしそうな食べ物を撮るカット。「箸あげ」と呼ぶらしいが、「箸は右が常識的」だから、左で箸を持ってはいけないらしい。テレビ局ではたらく友だちから聞いた。なんだか、左利きの自分としては解せない。常識的なものじゃないと映像にしちゃいけないのだろうか、左で箸を持つことは常識的ではないのだろうか。違和感を覚える。

Read More