緑色のプロレタリア

ぼくは、緑色のエプロンがトレードマークのスターバックスでアルバイトをしている。どこのスターバックスかと言えば、横浜中華街。道行く人の多くは「ここにスタバかよ」と笑う、そんな店だ。

アメリカのスターバックスが経営的に失敗してしまった理由のひとつに、店舗を過剰に拡大しすぎたことがあると言われている。どうやら中華街までに進出してしまう日本のスターバックスも同じ道を辿ろうとしているらしく、店内で閲覧できる社外秘の文書には「当社の予想シナリオ以上に事態は悪化している」と書かれていた。たしかに「ちょっと高級なカンジ」を演出するカフェとしては店舗数が多すぎるし、昨今のブランド力の低下は否めない気もする。そんな会社の危機的状況を打開すべく、日本のスターバックスでは現在進行中の計画「五カ年計画」が存在する。資本主義の恩恵にあやかった多国籍企業が旧ソ連における社会主義計画の名前を捩るのもどうかと思うが、とにかくそこにはひたすら利益追求に関することが書かれていた。社外秘なのであまり多くは語れないが。

ある日僕が店長に「求めるのは利益だけでいいのか」と聞くと、店長は「パートナー(スターバックスでは店員をこう呼ぶ)として唯一できること、お客様のことを考えることをしていく必要がある。利益はお客様に直結している」と答えた。ということは、結局お客様は利益を得るための単なる手段であり、最高の目標はひたすら利益であるということになる。

何かおかしい気もするが、だからといってスターバックスを否定するつもりはない。なぜなら僕は「自分の東京三菱UFJ銀行の口座に、毎月25日に振り込まれるいくらか」という利益が欲しいために、「お客様を思いやる」労働をしているだけだから。それはスターバックスの利益追求の理念となにも変わらないし、アルバイトなんて、所詮そんなものだろう。僕はスターバックスと言う組織のピラミッドの最底辺にいる、ただのプロレタリアなのだ。お店がどこにあろうと、アメリカのスターバックスが失敗しようと、結局僕は毎月25日を楽しみにしているだけなのである。

 

(2009/05/27)