短考)ことばについて

ことばを丹念に紡いだ本を読むと、ことばが身体に行き渡る。そうやって読書はひとを形づくるのだとおもう。考え方とか、見方とか、生き方とか、ことばを咀嚼することで、学びとることができるのだと、おもう。

そんな中で、世の中のものことがどんどん形骸化しているように感じる。年月を重ねて培われてきたものことが、ぼろぼろと無に帰する。それを進歩と捉えるひともいるけれど、人間らしさが失われ、ひとりひとりの深みは埋まり、フラットになりつつもつまらない世界になるんじゃないかな、と危惧する。

そんなことを感じるのは、たいてい、石牟礼道子か宮沢賢治を手にとったとき。あのひとたちのことばはやっぱり、ぼくらが普段使うことばと、少し違う世界のことばなんだとおもう。五感で捉えられない、もう少し森とか海とか山に近い世界が、そこには広がっている。

(2013/12)